アスレチックリハビリテーション:具体的な進め方 [リハビリ]
1.メニュー設定
(1)動作・関節可動域の確認
現在何ができて何ができないのか、また故障箇所に関わる各関節の動かせる範囲(関節可動域)を確認。
ex)足関節内反捻挫Ⅰ度損傷:jog・run可能。切り替えし動作,ブレイク時に痛みあり。背屈動作90°程度。それ以上になると痛みが出る。内反ほとんどできない。
(2)目標の設定
いつまでにどの程度の動きができるようになりたいか、怪我の状態もふまえて選手・リーダー陣・コーチ陣と相談して目標を設定する。
これらをもとにメニューを設定する。
2.メニュー設定
簡単で負担が少ない動作から始め、段階的に動作レベルや負荷をあげていく。
基本的には痛みの出る動作・負荷では行わない。
痛みが出たメニューについては、動作レベル・負荷を落とす。それでも痛いようなら止める。
〔機能的なリハビリテーションプログラム〕
ファーストエイド:RICE(受傷から24~72時間繰り返す)
↓
柔軟性:ストレッチ/自動関節可動範囲(AROM)運動
↓
筋力:アイソメトリック運動/他動関節可動範囲(PROM)運動/アイソトニック運動
↓
筋持久力:アイソトニック 運動(高回数)
↓
スピード・調整力:SAQ・スキルエクササイズ
↓
心肺持久力:ランニング/スプリント(ほか固定自転車/水泳など)
3.メニュー開始
受傷3日目まではRICE処置中心に行い、通常リハビリは開始しない。
ただし患部を動かしても痛みがあまりない場合に限り、十分なアイシング後行っても良い。
3日目を過ぎ、腫れが引いてきていて痛みのピークが過ぎたらホットパック等で10~15分ほど患部を暖め、血の巡りをよくしてからメニューを開始する。
※損傷組織の修復に必要な物質は血液によって体内に運ばれるため、患部には多量の血液を送る必要がある。
4.メニュー終了
リハビリメニュー終了後には患部は一時的に炎症を起こしているため、必ずアイシングを行う。
これを怠ると痛みが再燃し、ファーストエイドからやり直しになることが多い。
5.メニュー修正
その日のメニューの様子をみて、次の日のメニューを修正する。
- エクササイズの種類を増やす/減らす
- 負荷を増やす/減らす
- エクササイズ強度を上げる/落とす など
※ 参考
〔下肢の回復ステップ〕
受傷
↓
ファーストエイド 安静
↓
リハビリテーション 立つ
↓ 歩く
↓ 階段昇降
↓ ジョギング
↓ スプリント
↓ 加速走
回復 全力走
〔上肢の回復ステップ〕
受傷
↓
ファーストエイド 安静
↓
リハビリテーション 立つ※立っても痛みや不安がない
↓ 動かす
↓ 持つ・握る
↓ 専門的動作(ヒット・スナップ・キャッチなど)
↓ 50%動作
↓ 70~80%動作
回復 全力動作
アスレチックリハビリテーション [リハビリ]
選手がなんらかの外傷・障害によって身体機能を低下、または失った際に、スポーツ活動・競技が可能となることを目指すリハビリテーション。
激しい身体活動を行うことができる高い体力レベル獲得することが必要。
※メディカルリハビリテーション…歩く・登る・持ち上げるなど日常生活動作を取り戻すことを目的とするリハビリテーション。